違法でない情報収集?

ほぼこもセキュリティニュース By Terilogy Worx

新しい流れはいろいろな業界で起こっています。
以前は多くの自動車にはカーナビゲーションシステムが搭載され、それは当たり前のように搭載されていると思えるような広がりを見せていました。
最近は様子が変わってきているように思えます。
車に標準搭載される仕組みが、ディスプレイオーディオに変化してきているのではないでしょうか。

この流れはいくつかの観点から妥当に思えます。
従来のカーナビは地図の更新が面倒、多くの人がそもそもスマートフォンを持っている、スマートフォンがあればナビができる、バックモニタの搭載が当たり前のようになってきているので後方映像を表示する機構は車に搭載する必要がある、こういった様々な条件を組み合わせると、自動車メーカーの出す答えは、標準でディスプレイオーディオを搭載しようということになるのかもしれません。

ディスプレイオーディオの搭載された車で出かけるときの動きは、どんな流れでしょう。
機種による制約や違いはあると思いますが、利便性の向上した機種の場合およそこういった流れになると思います。

  • 所有者が自動車に乗り込む
  • 所有者は事前に連携設定を実施済みのスマートフォンを所持している
  • 自動車が運転可能な状態になる(ガソリン車のエンジンをかける、電気自動車の電源をオンにする、など)
  • スマートフォンが自動的にディスプレイオーディオに接続される
  • CarPlayやAndroid Autoで、自動車のディスプレイでスマートフォンの機能が利用できる状態になる

この機構はとても便利ですので、一度体験してしまうとなかなか手放せなくなる人が多いのではないでしょうか。

しかし、この状況に心配になるニュースが出てきています。
「自動車メーカーがテキストメッセージを傍受しても構わないと判事が判断」したというニュースです。

ある4社の自動車メーカーが訴訟を起こされています。
訴訟の内容はこういったものです。
「同社の車両のインフォテインメントシステムは、スマートフォンがシステムに接続されると、すべてのテキストメッセージのコピーをダウンロードして保存するようになりました。訴状によると、メッセージがダウンロードされると、このソフトウェアにより車両所有者は通信や通話記録にアクセスできなくなるが、法執行機関にはアクセスが可能になるという。」
機器が勝手に個人情報をコピーしてしまい、そのコピーしたものを元の情報の所有者は触れることができないというものです。
この機能がワシントン州のプライバシー法に違反しているのではないかという訴訟なのですが、現時点で、この集団訴訟はワシントン州のプライバシー法に抵触したと判断する条件を満たしていないと判断されています。

Mozillaの調査によると、このような機能を有するのはこの訴訟であがっている4社だけでなく、実に25社の製品で類似の状況になっていることが確認されました。
こういった自動で情報を取り込まれてしまう動きをしないメーカーの自動車を選ぼう、という作戦は簡単ではなさそうです。
カーディーラーで自動車の購入を検討する際に、「こちらの車はわたしのスマートフォンの情報を勝手にコピーする機能を搭載していますか?」と質問したとして、事実の回答が得られることは期待できるでしょうか。
難しそうです。

利用者ができる対策はなにかあるでしょうか。
そもそもスマートフォンが接続される設定をしない、これは不便になりそうです。
必要な時にしかスマートフォンを接続しない、これはつないだ時にごっそり持っていかれるだけかもしれません。
普段使っている個人情報の含まれるスマートフォンとは別に、自動車連携用の別のスマートフォンを用意して、それを連携させて利用する、これは荷物も経費も増えそうです。
どうしたものでしょうか。

参考記事(外部リンク):Judge rules it’s fine for car makers to intercept your text
messages

www.malwarebytes.com/blog/news/2023/11/judge-rules-its-fine-for-car-makers-to-intercept-your-text-messages