情報作戦について

自らや他の主体にとって有利となる情報を広めるという方法は、特に新しいアプローチというわけではありません。しかし、昨今、情報量の増加や拡散速度の上昇に伴って、フェイクニュース、偽情報、誤情報、プロパガンダなどをタイムリーに特定・阻止することが困難になっています。情報の事実関係が検証されている間に、それらの情報が標的へと拡散し、検証の結果を待たずに人々に影響を与えているというのが現状です。そのため、拡散される情報の真偽そのものよりも、情報拡散のプロセス全体を分析することの方が、そのような情報拡散を理解し防ぐにあたって重要となります。

これらを踏まえ、テリロジーワークスでは、情報作戦を次の方法で定義しています。

情報作戦とは、特定の主張や言説を組織的に流布・浸透させることで、標的とする主体の思考感情行動を自らに利する形に変容させ、目標を達成しようと試みる一連の行為を指す


情報作戦の歴史

情報作戦は、長い間、人々の生活に取り込まれてきました。古くは、伝説や物語を語り継いだり、噂話を流したりすることで情報の共有が行われていました。20世紀以降はラジオ、テレビ、インターネットなどが使用されていましたが、現代ではそれらに加えてSNSも様々な主体によって利用されています。


情報作戦からの防護

情報作戦は増加の一途を辿っており、日本を含む世界中の国民を標的にした情報作戦が継続的に実施されています。そのため、情報作戦の早期の察知や適切な防護・対応手段の開発は、社会を守るためには不可欠です。情報作戦からオーディエンスを守るためには、以下の4領域における活動が重要だと考えられます。

テリロジーワークスは、情報作戦を分析するための方法論およびフレームワークを開発し、一般に向けて公開しています。



情報作戦の分析フレームワーク

情報作戦の分析にあたっては、複雑なアプローチを必要とします。テリロジーワークスでは、過去数年間にグローバルな規模あるいはローカルな規模で行われた様々な情報作戦の分析を通じて、情報作戦による影響を最小限に抑えるために役立つと思われる情報作戦の分析フレームワークを開発しました。

テリロジーワークスの情報作戦の分析フレームワークは、情報作戦が実施されるプロセスに基づいています。このようなアプローチを取ることにより、情報作戦の組織を、使用される戦術、テクニック、サブテクニックの複合体として分析することが可能となります。これらの戦術、テクニック、サブテクニックは、複数のアクターに共通していることもあれば、特定のアクターに固有な場合もあります。


情報作戦の分析フレームワークは、情報作戦の組織に関する標準化された視点を提供するだけでなく、情報作戦の組織に関与する複数のアクターについて分析することを目的としています。情報作戦に関与するアクターを分析することで、特定の戦術やテクニックを特定することができ、その結果、情報作戦の組織者についてアトリビューションできるとともに、情報作戦の参加者の行動に対する理解を深めることができます。

このことからも、情報作戦で使用される戦術、テクニック、サブテクニックを理解することは、適切な保護策を策定し、情報作戦による影響を軽減するために不可欠であると言えます。


情報作戦は常に進化を続けており、その都度、新しい戦術、テクニック、サブテクニックが開発され、ターゲットに影響を与える可能性があります。今後、新たな情報作戦の手法が発見され次第、このフレームワークは定期的に更新される予定です。


情報作戦分析フレームワーク・詳細版

テリロジーワークスが作成した「情報作戦分析フレームワーク詳細版」をPDFにてご覧いただけます。
以下のフォームよりご登録いただきますと、自動返信メールにてリンクをお知らせいたします。

※業務でお使いのメールアドレスからご登録をお願いいたします。
※当資料は随時追加・修正してバージョンアップを予定しております。ダウンロードから日にちが経ちますと、最新版と内容が異なる場合があります。